遠藤家所蔵の『雅言集覧』
抜六 ひとつ付け足しがあるのですが、よろしいですか。
遠藤 はい、どうぞ。
抜六 春足さんのところに残された雅望の書簡を見ると、今回紹介した分だけでもこれだけ密なやりとりがあったのですが、遠藤さんはどこかで雅言集覧という本を見ましたか?
遠藤 そういえば、まだ見ていないですね。私の見落としかもしれませんが…
抜六 実はそれがあったんですよ。何ヶ月か前に遠藤さんが見つけ出した書物を徳島県立文書館に頼んで燻蒸消毒して、目録作りをしたことがあったでしょう。
遠藤 はいはい、私は目録作りには欠席していましたが、そのようなことをしたという旨は聞いています。
抜六 実はあの書物の中に雅言集覧があったんです。これがその写真です。
遠藤 あっ、これだったんですね。これってページがめくれなくて塊になっていたやつですよね。
抜六 そうです。表紙も全部はがれて、本文も紙と紙がくっついて、ひとかたまりになっていました。やっとはがれるところを見つけ、ごく一部ですが見てみると、どうも雅言集覧っぽかったんです。それで、何か手がかりがないか詳しく見てみたところ、小さい文字で「雅言集?」と記してありました。内容と合わせて、まさしく本物の雅言集覧だと判断したわけです。
遠藤 なるほど。雅言集覧の変わり果てた姿だったんですね。しかし、あれでは読めないですよね…。
抜六 ご心配なさらず。雅言集覧は他の本で翻刻もされていますし、国立国文学研究資料館などでデジタル化もされており、読むことはできるはずです。
遠藤 それを聞いて安心しました。我が家のデジタル化ではなくて団子化した雅言集覧は記念としてとっておきますね。
抜六 はい。私も雅望や春足の序文・跋文はまだ確認しておりませんので、時間を見つけて読んでみたいと思います。
遠藤 いずれにせよ、雅言集覧という優れた書物に我が家の祖先、遠藤春足が関係していたことがわかって勉強になりました。今回もいろいろと解読ありがとうございました。
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