短冊

春足 狂歌短冊(三葉)

撮影:四国大学 / 分類:右から手鑑3-45-1、3-45-2、3-45-3

 曙雪
ねくらてゝかへるからすのあとはかり
まつは松なる雪の曙      春足

 朝鶯
あかつきをおほえぬころも鶯は
梅花のほしを戴きて啼     春足

 関によす
 恋のこゝろを
恋路にも手配あれかし人のめを
しのぶの関や白河のせき    春足

語注・気付き

3-45-1 ねくらてゝかへるからすのあとはかり/まつは松なる雪の曙
*意味不明? 春足印あり。

3-45-2 あかつきをおほえぬころも鶯は/梅花のほしを戴きて啼
狂歌短冊3-29-5と同じ。
*梅花のほし「月夜見梅花」(げつやにばいかをみる)
月耀如晴雪 つきのかがやくは はれたるゆきのごとし
梅花似照星 ばいかはてれる ほしににたり
可憐金鏡轉 あわれぶべし きんきょうのてんじて
庭上玉房馨 ていじょうに たまぶさのかおれることを
(菅原道真が十一歳のときに詠んだ詩。晴れた日の雪のような月の光の下、白梅が輝きながら香りを漂わせている。)秀逸

3-45-3 恋路にも手配あれかし人のめを/しのぶの関や白河のせき
*しのぶの関 不明。「信夫文字摺り石」は白河の関に近いので混同したか。
*忍捩摺(しのぶもじずり)「みちのくのしのぶもぢずりたれゆゑにみだれんと思ふ我ならなくに〈源融〉」(出典:古今和歌集(905‐914)恋四・七二四)(精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典)
*《古今集》巻十四には源融の〈陸奥のしのぶもぢずり誰ゆゑに乱れむと思ふ我ならなくに〉の歌がある。〈しのぶもぢずり(忍捩摺)〉は信夫郡の名産で,石に草木をこすりつけ,布にその色を移した染物。市内山口地区に文字摺石という石があり,芭蕉も《おくのほそ道》の紀行で訪ね,〈早苗とる手もとや昔しのぶ摺〉の句を詠んだ。

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