月
皆人のなみたの雨を催すは
月の情のわさにさりける 春足
名所雪
駒とめて駄ちんを拂ふかげもなし
佐野のわたりの雪の夕くれ 春足
櫻
海棠をさくらのやうにおもふめり
芥子坊子等のをさなこゝろに 春足
語注・気付き
3-31-1 皆人のなみたの雨を催すは/月の情のわさにさりける
*わさにさりける 「術にぞありける」(わざであったなあ)のつづまったもの。
3-31-2 駒とめて駄ちんを拂ふかげもなし/佐野のわたりの雪の夕くれ
*駒とめて袖うち払う陰もなし佐野のわたりの雪の夕暮れ 藤原定家(新古今)
3-31-3 海棠をさくらのやうにおもふめり/芥子坊子等のをさなこゝろに
*狂歌短冊3-23-5と同じ
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