以下の翻刻・訓読・現代語訳は徳田武氏のご教示による。
咏蟹
物以難枉性 枉性必傷情
我代渠儂道 横行即直行
己丑五月 六々園主人嘱
棕隠題
訓読
蟹を咏ず
物は以て 性をま枉げ難く
性を枉げれば 必ずや情をいた傷めん
我 きょのう渠儂に代りて道ふ
横行 即ち直行なりと
己丑五月 六々園主人嘱
棕隠題
現代語訳
蟹を咏ず
物というのは、本性を曲げられないものだ。
本性を曲げると、きっと感情を痛め損なうであろう。
私は彼らに代って弁じよう。
横に歩むのこそ、彼らにとっては真っ直ぐに行くことなのだ。
己丑(文政十二年、一八二九)五月 六々園主人嘱す(委嘱する。頼む)
語注・気付き
〇中島棕隠の五言絶句(狂詩?) 書簡3-17-1内に記載されている「狂詩二首」(扇面3-18-1、この書き物3-18-2)と思われる。
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