尚々已来御すり物等之
御企も候ハゝ清澄方ゟ小子方
へ被仰聞可然候かやうニ延引
になり候やうにハいたすましき事に候 以上
御手書拝誦仕候追日
暖気相催候御万福
察居仕候誠に春中は
貴恙しはらく御籠居之
よし心ならす奉存候処
早速御全快大慶仕候
梅之詠草御覧すみ候由
扨々御苦筆之事ニ奉存候
近日開巻大会興業
可致事ニて候此度南畝へ御
とゝけ物早速遣し候
よくよく御礼申候やうニとの
事也短冊帋共とみニ
認させ候まゝ返上仕候
占正へすり物御たのみのよしニて
御手帋先達而被遣候其節
清澄方へ金子被遣候ニ付右
占正方へ相わたし候よし
然処今以右御すり物出来
不申扨々不埒なるやつにて
困り入候此節小子か怒り候を
おそれ一向此あたりへよりつき
不申候しかしきひしく
催促及ひ出来いたさせ可申候
いつれニもかさねてハ彼者ニ
ハあつらへハ御無用被成可申候
社中之者かれニあつらへ候ハ
一人も無之毎度小子を
こまらせ候事斗ニて扨々
迷惑いたし候
素麺御贈り被下候段忝
奉存候いまた到着不仕候
毎度御厚意感謝不堪
御地角力立之御趣向御座候
而番付御見せ被下興し入候
さてさておひたゝしき人数
にて候ひとへにミとくの餘
計?(と)奉存候御社中方
不洩やう可然御つたへ可申候(可被下候?)
御稗号御かへ可被成思召
之段これと申考も無之候
抜足
律義
長生
伊吾丸
朝寝
猶可有之候御考可然候くれくれ
御厚意之被物奉謝候
謹言
四月朔日 六樹園拝
雲多楼大人
語注
*ミとくの餘計 御徳の余慶 のことか?
気づき
〇この書簡から読み取れること①春足さんが病気か何かでしばらく音信がなかったこと。②春足さんが雅望、南畝へ届け物(素麺)をしたこと。2-10-1南畝、2-10-2雅望の書き物はそのお礼として送られた物。③占正(五側の狂歌を集め、摺りものとして編集などを任せていた人物か?粕谷宏紀著『石川雅望研究』にしばしば登場)への不信。④春足さんが稗号(ここでは狂名のこと)変更の相談をし、案を五つ示してくれたこと。「抜足」はこれをきっかけに採用したのであろう。これによると「ぬけたる」と読むらしい。等々がわかる。
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