書簡

雲多楼宛て六樹園書簡 梅之詠草 春足社中が占正へ依頼した摺りもの延引の詫び 占正への不信 春足社中の企画「狂歌角力番付」作成 春足が狂歌名の改名相談等

撮影:四国大学 / 分類:手鑑2-9-1

尚々已来御すり物等之
御企も候ハゝ清澄方ゟ小子方
へ被仰聞可然候かやうニ延引
になり候やうにハいたすましき事に候 以上

御手書拝誦仕候追日
暖気相催候御万福
察居仕候誠に春中は
貴恙しはらく御籠居之
よし心ならす奉存候処
早速御全快大慶仕候
梅之詠草御覧すみ候由
扨々御苦筆之事ニ奉存候
近日開巻大会興業
可致事ニて候此度南畝へ御
とゝけ物早速遣し候
よくよく御礼申候やうニとの
事也短冊帋共とみニ

撮影:四国大学 / 分類:手鑑2-9-1

認させ候まゝ返上仕候
占正へすり物御たのみのよしニて
御手帋先達而被遣候其節
清澄方へ金子被遣候ニ付右
占正方へ相わたし候よし
然処今以右御すり物出来
不申扨々不埒なるやつにて
困り入候此節小子か怒り候を
おそれ一向此あたりへよりつき
不申候しかしきひしく
催促及ひ出来いたさせ可申候
いつれニもかさねてハ彼者ニ
ハあつらへハ御無用被成可申候
社中之者かれニあつらへ候ハ
一人も無之毎度小子を
こまらせ候事斗ニて扨々
迷惑いたし候
素麺御贈り被下候段忝
奉存候いまた到着不仕候
毎度御厚意感謝不堪

撮影:四国大学 / 分類:手鑑2-9-1

御地角力立之御趣向御座候
而番付御見せ被下興し入候
さてさておひたゝしき人数
にて候ひとへにミとくの餘
計?(と)奉存候御社中方
不洩やう可然御つたへ可申候(可被下候?)
御稗号御かへ可被成思召
之段これと申考も無之候
  抜足ヌケタル
  律義リチギ
  長生ナガイキ
  伊吾丸イゴマル
  朝寝アサネ
猶可有之候御考可然候くれくれ
御厚意之被物奉謝候
謹言
四月朔日    六樹園拝
雲多楼大人

語注

*ミとくの餘計 御徳の余慶 のことか?

気づき

〇この書簡から読み取れること①春足さんが病気か何かでしばらく音信がなかったこと。②春足さんが雅望、南畝へ届け物(素麺)をしたこと。2-10-1南畝、2-10-2雅望の書き物はそのお礼として送られた物。③占正(五側の狂歌を集め、摺りものとして編集などを任せていた人物か?粕谷宏紀著『石川雅望研究』にしばしば登場)への不信。④春足さんが稗号(ここでは狂名のこと)変更の相談をし、案を五つ示してくれたこと。「抜足」はこれをきっかけに採用したのであろう。これによると「ぬけたる」と読むらしい。等々がわかる。

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