霜月朔日出之貴翰両三日
已前到着拝誦仕候先々
烈寒之砌御万福??
???奉存候
〇梅の題のちらし占正より御地へ
さし出し候由御連中方御出詠
希事ニ候
〇金子入一封占正へ早々相届候
〇来年月並題いまた板行出来
不仕候画賛の題ニて絵師の
おほくしたゝめ候をとり出申候
布袋 鍾馗 猩々
山水 源氏絵ノウチ 虎蹊三笑
なとと申たくひにて候板行出来
候ハすくニ御届可申上候
〇御文章御見セ被下拝見扨々
例なからおもしろく承り候
さふらふと申詞
これハふるき文の体にてハ侍りと
したゝめ候事也六家集の比
よりさふらふとかき候事ニ成
かやうニ源氏(?)めのとのふみハ
阿仏尼の作にてさふらふとのミ
かゝれ候盛衰記平家物語なと
も大体さふらふの方おほく
見へて今の謡曲に侍りのかたハ
なく皆さふらふとのミ申候を
さるころのならひをうつし
候事とおほへ候今の世に格別
こゝろにいれてかき候はんにハ
侍るの方しかるへく奉存候
なにともなきせうそこ文にハ
さふらふにてもよろしくやと
???候
短日ことの外せわしく候侭
万々後便と申のこし候
折角寒気ハ自愛可被成候
御連中へよろしく御伝へ
可被下候 謹言
十一月十一日 五老拝
雲多楼大人
語注
*六家集 新古今時代の優れた六つの私家集のこと(wiki)
*めのとのふみ 阿仏尼が自らの経験を踏まえ、宮廷女房となっているわが娘に女房の態度・心構えをはじめとする様々な事項について書き記したもの。(一誠堂書店説明)
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