炎熱凌かね候御万福
察居仕候先達ては御地
名産の素麺頂戴
奉感謝候江戸にてハ
一向無之品ニ而五彩
ミなミな眼をおとろかし
申候南畝もくれくれ
御礼申候事ニて候
扨梅のひゝき今十日
麹町師楼にて興業
天気よく存外ニ群集
大あたりにて候ひき
右彼?まて異数
をかそへ番付ニしたて
候まてさてさてむつかしき
事共にて清澄并ニ
文丸盛砂右三人ニて
したてあげ候御ついてニ
文丸盛砂へ書状被遣
被下候例ハ占正罷出
とりあつかひ候へ共病気
にて件の者共のミせわ
いたし候春興のすり物
占正へ御あつらへの所大ニ
延引御社中ハはらたち
のよし御道理ニ存候已来
くれくれかれへハ御たのみ
被成候事ハ無用ニて候
元来困窮の上少々
ずるき男にて万事
をこたり候間いそぎ
仕(候?)事なと間ニあひかね
候事にて候先々右
大会無恙成就いたし
悦入候猶委細後便
可申上候謹言(?)
五月十五日 五老拝
雲多楼大人
気づき
○①五色素麺送ってくれたことへの礼。蜀山人にもお裾分けしたこと(2-3-1と重複。前状が届いていないと判断して重複したか? ②「梅のひゝき」(未見。春足社中の狂歌集か?)蜀山人宅で開かれた狂歌会で披露③当興業は大当たり。文丸・盛砂が番付に仕立て上げた。④「春興帳」のすり物(春足社中の新年の狂歌を集めた物の板行を占正へ依頼したものと思われる)が大いに延引していることへの詫び(春足さんから苦情が届いたか?)⑤占正への不信(他の書簡にも見られる)
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