すりもの少々入御覧候
〇雅雄事此節私方食客ニて
日毎ニ御噂のミ申出候
正月十五日之貴翰今朝着
拝読仕候御安康奉賀候
為年始御祝義金百匹
御授被下御厚意之?奉
謝候
〇新居壁上画像之事此節
京師より下り居候土佐派
絵師千春と申者ニかゝせ
て候出来いたし候所壁上よりは
屏風ニ致候方よろしかるへくと
申者も有之相考候事にて候
〇一曲亭様御下向にて此間
御来臨御物語仕り候
〇末鷹本年中出府少々
評判あしく有之候小子方へ
も来り候而二階ニ有之笠を
ほしきよし申候故遣し候?
日あたりにあたらぬやうに
めし給へ半夏過ての
たけのこのかさ
末鷹返し
やとりてハ一樹のかけも
わすれぬをまして六樹の
たけのこの笠
この外は雑読のミニ有之候
吉原へもなしミ通ひ候よし也
雅言集覧当年一篇出しハ(?)度
存居候
くれくれ御年?之御礼あつく
申上候猶後便万々申?候 以上
二月廿日 五老拝
六々園大人
尚々諸君へよくよく御伝達
可被下候
気づき
○①年始御祝儀金百疋受納(粕谷宏紀著『石川雅望研究』によると門弟の山田早苗が毎年正月に「狂歌よみそめ代」として一分贈っているのでほぼそれに匹敵する) ②新居壁上狂歌師画像の事、いっそ屏風にしてはどうかという意見も出たので考慮中。この狂歌師の中に春足も含まれていたかも知れない。③一曲亭江戸下向雅望宅訪問 ④(賀茂)季鷹出府評判あまりよろしくない(吉原通いのためか)来訪狂歌応答 ⑤雅言集覧当年中一篇出したい。
○季鷹との狂歌応答 解釈
(雅望の贈歌) 日射病にならないようにかぶりたまえ。半夏生過ぎての竹の子で作ったこの笠を
(季鷹の答歌)一樹の蔭を借りた(一宿一飯の)恩義は忘れようはずがない。ましてや六樹の蔭(六樹園をかける)を被り、たけのこの笠までもらったのだから・・・・(季鷹は狂歌は秀逸)
コメント