書簡

六々園宛て五老書簡 「五十人一首」摺りにかかった 雅言集覧序文共板行出来校合中 用語「ふさに」についての質問に対する回答

撮影:四国大学 / 分類:手鑑2-28-1

残暑ニ候へ共土用中よりも
まさり候炎熱ニ有之候
御多福御由之趣奉
大慶候御文章一覧
返上仕候いつれもいつれもおもし
ろく感心仕候
五十人一首此ころ摺ニかゝり
をり候四五日中ニハ出来候と
存候
雅言序文共板行出来
仕り候少々校合いたし候所
有之板木屋ニなほし申付候
事ニて候これも不日ニ発行
可致候
 ふさにと申詞御尋御座候
蜻蛉日記三
道すからわらひぬへき事ともふさに
あれと
同中上

撮影:四国大学 / 分類:手鑑2-28-1

さまさまにしやうそきあつまりて二車
ぞある馬ともなどふさにひきちら
かいてさわぐわりこやなにやとふさ
にあり
同二
西の京にさふらふ人々こゝにおはし
ぬとて奉らせたるとて天下の物
ふさにあり
同四 文詞
ミことふさにかきたり
うつほ物語 初秋上
北方あやふさにとうでえさせ奉り給ふ
同 うなひともふさなり
同女御まかなひのもただのもふさにさふらひ給ふ
同 国開
御車にハ四位五位ありとある人ふさ
につきて手ひきにひく

ところところよりおかしき物どもふさに
奉れ給へり
大和物語
わたつミと人やミるらんあふことの
?(虫食い)をふさになきつめつれは
源氏にハふさやかと見へ候
空蝉の巻
契いとふさやかにてながくハあらねと
さ?(か?)りはかたのほといときよけなる

撮影:四国大学 / 分類:手鑑2-29-1

?(虫食い)
すゑのふさやかにさくりつけられたるほと
とりかへはや物語
かしらあらはせ契かきたれなとして
ミれは尼のほとにふさふさとかゝり
いつれ沢山なる事ニ用ひ候
語にて候
尾張辺大地震之由江戸は
さやうの事もなし御地ハ如何
御座候や
先々御返書迄早々申上候
謹言
六月晦日       五老
六々園大人

語注

*尾張辺大地震 文政二年六月十二日(旧暦)近江・美濃・尾張地方大地震をさす。
*五十人一首 「『「狂歌狂歌五十人一首』(葵園北渓画大一冊)を撰して五側社中より刊行する」(文化十年)に該当。

気づき

○①(春足の)文章拝読おもしろい。②「五十人一首」摺りにかかった。③雅言集覧序文共板行出来校合中④「ふさに」という言葉についての質問に対する回答

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