尚々千紅万葉と申書
もらひ候まゝ呈上仕候これも仮字
たかひやうてにをはのたかひやう
大変ニ候へ共入御覧候
新年の御祝い被下御状被下
?奉拝誦候御家内様
御安康愛度奉存知候扨は
綾丸兄御出附御訪被下
忝奉存候併?春繁忙
殊ニ内々釈?共之事
に少々相談有之甚心
多忙之節ニて別而ゆくゆく
御物語も不仕候しかし大かた
御国表之御様子も承り
さてさて御浦山しき事共ニ
奉存候
(以下「申上候」まで二行書き)
雅雄久々足をとら?をり
御セ話の御事共母もよくよく
御礼申上候
文苑玉寄と申書一覧
これハよしあしをいはす
たゝ高名家の文を集め
候事と存候蓮阿と申人ハ
何国の仁ニ候や季鷹序文
小子ニハ一向心にかなひ不申候
此翁の文かゝるへくとハ今日まて
不存候所扨々驚入り候
大平先生なとハいかが評
被致候事や承り度候
何も急便早々申上候以上
二月十二日 五老
六々園主人君
語注
*文苑玉寄 見当たらず。名家の文章を集めたアンソロジーか。
*千紅万葉 見当たらず。冒頭の尚々書きの「これも仮字たかひやうてにをはのたかひやう大変ニ候へ共入御覧候」とは「この書も文苑玉寄同様、「仮字」(変体仮名の母字)の当て様、「てにをは」(助詞)の使い方等ひどいものだが参考までにお目にかけよう」の意味だろう。
気づき
○賀茂季鷹の序文を「心にかなひ申さず。」この人の文章こんな(ひどい)ものとは知らなかったとくさしている。恐らく和文独特の何を言っているのかわからないくだくだしさが気に入らなかったのだろう。雅望は蜀山人の薫陶を受けて和文・漢文に通じている。雅望の国学派(和文派)に対する反感は相当なものである。春足はこの二派に足を突っ込んでいたことになる。
○尚々書きの千紅万葉という書、他所からもらったので送るとある。
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