御状拝誦如承賀正
幾久く愛度奉存知候弥
御強健候由奉察居候
?老無事ニ罷在候
御安慮可被下候為御年酒
金一方御授被下誠ニ
御懇志之思召千万
奉謝候
雅雄事永々と逗留仕
種々御厄介ニ預り候事
御礼難申尽奉存候先々
無事ニ両三日已前到
着仕候母もくれくれ御厚志之
御礼有かたかり候事ニて
有之候
当地近比出板之随筆
御覧之由松のや并ゆつる
?(へ?)と申者皆々一向なるやつ
に有之候其よしハしたゝめ
候文章にても御あきらめ
可被成候此外平田某とか
申仁著述これハいまた
披見不致候江戸ニハよき
和学者ハ無之候
集覧文丸筆工を怠り
いまた出来不仕今少シ
に相成扨々こゝろせかれ
候事ニて候
御思召之御著述よろしく
おほへ候追々御相談可仕候
今日急便ニ付何事も
後便申上候くれくれ
雅雄長々御面倒
に預り候事恐れ入事ニ
有之候諸君へもよくよく
御伝達可被下候 謹言
五老
二月廿二日
六々園大人
語注
*年酒 本来は「年始の屠蘇、また年賀の客にすすめる酒」(日本国大)の意味であるが、ここでは年始の挨拶の金一封をさすか。
気づき
◯①「年酒」として金一方受納 ②雅雄厄介御礼。二、三日前江戸に到着。母からもよろしく伝えてくれとのこと ③(雅望の)随筆を(春足が)読んでくれたこと ④平田某(篤胤のことと思われる)著述はまだ読んでいない。⑤江戸には「よき和学者」がいない ⑥雅言集覧、文丸が筆耕を怠っているため進行していない(これは「文丸の「さかしら」による濁点事件(書簡2-23-1参照)で文丸が雅望からきつく叱られ、むくれているのかもしれない)等
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