書簡

六々園宛て五老書簡 年酒として金一方受納 雅雄厄介御礼 雅望の随筆読んでくれたこと 江戸には「よき和学者」がいない 雅言集覧は文丸が筆耕を怠っていて進行していない等

撮影:四国大学 / 分類:手鑑2-24-1

御状拝誦如承賀正
幾久く愛度奉存知候弥
御強健候由奉察居候
?老無事ニ罷在候
御安慮可被下候為御年酒
金一方御授被下誠ニ
御懇志之思召千万
奉謝候
雅雄事永々と逗留仕
種々御厄介ニ預り候事
御礼難申尽奉存候先々
無事ニ両三日已前到
着仕候母もくれくれ御厚志之
御礼有かたかり候事ニて
有之候
当地近比出板之随筆
御覧之由松のや并ゆつる
?(へ?)と申者皆々一向なるやつ
に有之候其よしハしたゝめ

撮影:四国大学 / 分類:手鑑2-24-1

候文章にても御あきらめ
可被成候此外平田某とか
申仁著述これハいまた
披見不致候江戸ニハよき
和学者ハ無之候
集覧文丸筆工を怠り
いまた出来不仕今少シ
に相成扨々こゝろせかれ
候事ニて候
御思召之御著述よろしく
おほへ候追々御相談可仕候
今日急便ニ付何事も
後便申上候くれくれ
雅雄長々御面倒
に預り候事恐れ入事ニ
有之候諸君へもよくよく
御伝達可被下候 謹言
       五老
二月廿二日
六々園大人

語注

*年酒 本来は「年始の屠蘇、また年賀の客にすすめる酒」(日本国大)の意味であるが、ここでは年始の挨拶の金一封をさすか。

気づき

◯①「年酒」として金一方受納 ②雅雄厄介御礼。二、三日前江戸に到着。母からもよろしく伝えてくれとのこと ③(雅望の)随筆を(春足が)読んでくれたこと ④平田某(篤胤のことと思われる)著述はまだ読んでいない。⑤江戸には「よき和学者」がいない ⑥雅言集覧、文丸が筆耕を怠っているため進行していない(これは「文丸の「さかしら」による濁点事件(書簡2-23-1参照)で文丸が雅望からきつく叱られ、むくれているのかもしれない)等

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