両度之貴翰拝誦仕候薄寒(?)
御壮健御由奉察居候然は
花の狂哥大会はなはなしく
御執行之趣委敷承り実ニ
こまらひ飛セ御地ニたゝよひ
候心地仕り候嘸々御連中方
御心配り共奉察候番付
一枚被遣拝見見事ニ出来
仕り候併追加之分破船にて
残りおほき事ニ奉存候
雅言集覧当年中ニイカ篇
先出し候つもりニて司馬園事
骨を折候如何可有候や付而
序文之事大平大人ニ
御たのみ可申やの事雅雄
より内々ニ申来り候これは
何様可然事ニて候もし出来
いたし候事ならハ御恵(??)
御願可被下候
大坂ニて興歌
と申仁かねて懇意ニいたし候故
此仁之序文夏中出来此外
蔵板之つもりニて尾州渡辺
半蔵様之序有之候
貴兄ニも後序を御したゝめ可被下候
序文数重り候てもいかゝニ候へハ
跋文ニ希しく大平大人
のハ出来いたし候事ニ候はゝ
御たのみ可被下候くれくれ
奉願候
占正事御文通いたし候よしにて
小子方和淡相すみ候なとゝ
申上候よし大虚言ニ有之候
此方へ出入等ハいたさせ不申候
これまで数多之入料引請
いたし過分のをごりニ銭
をつひやし候事不当此上も
なきやつニて候決而已来も
御文通等被成候事ハ御無用ニ
御座候此節金子入御状被遣候事
不審ニ存候故御失礼なから開
封仕り候所金百疋人物入料
ニ被遣候趣故これハ此侭返上
仕り候江戸ニても大抵よみ
候者ハ無之候
雅雄事長逗留相成候殊ニ
あつく御せわ被下候由かれか
方より吹聴申来り候猶私
万々ニて奉謝候外ニ何之
用事もなき男ニて候相応
之御用も候はゝつかひ可被成候
嘸々御連中方御厄介ニ奉存候
よくよく諸君へ御通達可申候
先御報迄如此御座候已上
十月十二日
気づき
○差出人・宛名ともにないが筆跡・内容から春足あて雅望の書簡であることは明らか。
○雅言集覧序文について 春足方逗留中の雅雄から雅望へ春足の仲介で本居大平へ依頼してはどうかという提案があり、雅望は乗り気になり春足に依頼し実現する。この間のいきさつについては粕谷宏紀著『石川雅望研究』p239、p242に詳しい。
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