六月十五日之貴書相届
奉拝読候御壮健ニ御座
候之趣大慶仕候作者部類
御覧被成候由御勲功(?)に
被仰聞殊ニ々才金一歩
御授被下甚恐入奉存候
前月とおほへ候梅かへ物語
と題し候狂文御覧にいれ
たく八王子へ届候いまた
御地へ着不仕候と奉存候右ハ
少々文字も脱字有之候
御補可被下候
ふき(お)こすにほひことに
雪ミそれのいろにまかへる
さへ(なと)
これを朱かきのとほりニ
被遊可被下候いつれ御わらひ
くさのたねのミにて候
此節御詠藻一冊被遣
拝見仕候これハ続万歳
集と申候へ(?)加入いたすへく奉存候
左様思召可被下候追々御詠
出来候ハゝ御しるし?遣可被下候
如教示(に?)御遠方相隔り候??
御面語仕候事も不相成
遺憾此事にて候
前々之御詠藻共占正か
方ニ有之候これも相応之
題にさし出し候やうのこゝろかけ
にて御預り置候と御伝仕候也
何様近々の中御下向
あらまほしき事ニ?候?
先前件御礼奉申上度
如斯御座候恐惶
七月八日 石川五郎兵衛
遠藤莬道右衛門様
語注
*作者部類 『狂歌作者部類』(文化八年 六樹園編)をさすか。P.61に春足の自画像と共に紹介あり。
国書データベース
*金一歩は一両の四分の一。金一両を仮に今の十万円と換算すると二万五千円となる。
*梅かへ物語 粕谷宏紀著『石川雅望研究』P217に「(文化九年)九月、読本『梅かえ物語』(秋鯉画・一冊)を刊行する。」とあり。
*続万歳集 該当狂歌集見当たらず。『万代狂歌集』(石川雅望撰)は文化九年刊行。春足は「雲多楼鼻垂」名で二十四首入集。
*占正 石川雅望の狂歌グループ「五側」のとりまとめ、あるいは板行を引き受けていたか。雅望書簡によく出てくる人物。
*石川五郎兵衛 石川雅望の本名。
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