各葉、冒頭に「松風台久堅屋文々舎 土佐日記 尚製」という朱印があり、各歌の詞書は『土佐日記』の本文を引用、それぞれその中の言葉を題として狂歌を読むという趣向。
松風台久堅屋文々舎
土佐日記 尚製
男もすなる
日記といふものを
女もしてミんとて
するなり
梅隣亭 松蔭
旅衣けふたち
そむるえりいはひ
よねに土佐ふし
つめや舟長
臥龍園
土佐駒にのらす
なりてもはしら
する鞭ハ有けり
舟の追風
(同朱印)
けふハ子日の
海士ならハ
うミ松を
だにひかましものを
春霞
たつの
ミやこの
子日をハ
ミるとこたへし
蜑そゆかしき
翠峯亭 小松
土佐の海の網引に
もれて千代をふる
子の日の松の魚もあるらし
花実亭常磐
(同朱印)
うたの松原をゆきすく
其松の数いくそはく
いくちとせへたりとしらす
もとことに波打よせ
枝ことに靏そ飛かふ
沢の舎 勝見
つるも其
家のはる風したふらし
浜の名高き
大哥所
(同朱印)
はまにハくさくさの
うるハしき貝
なんとおほかり
松操台 美牧
鶯を後にも
さそふ月日貝
星にまかへる
梅の
はなかひ
花林堂 糸道
たつの神に
さゝけし人の
あとの崎
しほのひかたに
ミるかふと貝
(同朱印)
むかし
阿への
仲麻呂と
いひける人
ミかさの山
やまとの月ハ
めいしうの
津々まて匂ふ
霞一筋
勢州
日渉園 蝙蝠集
(同朱印)
鯉はなくて
鮒よりはじめて
かハのも海のも
ことものとも
長ひつに荷
なひつゝけて
おこせたり
松?台
ミさかなに
こんふたうべて
つらゆきか
ふなぢをそ思ふ
春のほろ酔
(同朱印)
山のはに
ミし月なれと
波より出て
波に社
いれ
見てけれハ
春立かへる
うら波の
花のまにまに
匂ふ月かけ
久かた屋
(同朱印)
かぢとり又鯛もて
きたりよね酒なんと
くるかちとりけしき
あしからす
あら海の
うしほも
けさハ
たひらかに
ほかげ赤めの
いをにまてさす
ノヘ庵 髭面
(同朱印)
いまし
かもめむれゐて
遊ぶ所あり
遊びゐる
うののとか
なる春の日に
梅かかもめの
匂ふ波の上
天の屋?芝
コメント