黄
黄鳥亭大道
うくひすの
このむゆゑにやさゝとよひ
きとよひ梅かもし
ことそする
俳諧歌場 真顔
青柳もきハむはかりに
にほふなり
酒漉袋えたに
ほす日は
白
安分居 白水
しら拍子
数ふる声を
春かすみ
空にひゝきて
打つゝミかな
赤
梅中庵
窓の梅
花の唇
へにさして
春のけハひは
とゝのひにけり
南宮
とき紅のあけゆく
春のあさひたに
いくしほ染し
梅の花猪(?)口
青
本町庵 三馬
紺撥のあさて頃にや
開くらむ
今朝は莟の
梅丸くとも
梅丸由禅
爪にしむ
氷もとけて
春の色に
藍染(?)川の
水くゝるなり
四方歌垣
春の日の
東籬に染て
ゆうせんと
誰も南の
山の端霞
黒 くろ木売/すみやき
大ハら木にふすべて
くろき妹か顔も
ひときハしろく
ミゆる春哉
小野の山しめ
かさりせし
すミかまに
雪のふたする
むつきたのしも
寸松?千春
語注
*粕谷宏紀著『石川雅望研究』によると雅望(五側)で『職人尽狂歌合』が刊行されたのは文化五年1808三月である。しかし、この時、画を担当したのは葵園北渓・司馬江南の二人で、この摺りものの「千春画」と一致しない。他に該当する「職人尽」がないか調べてみたが、いまのところ見当たらない。作者名を見ると「俳諧歌場 真顔」「四方歌垣」という名が見られる。共に鹿都部真顔と思われる。真顔を含む狂歌師達の狂歌が集められているところを見ると単に五側内だけの狂歌集ではなさそうである。
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