書簡

六々園宛て狂蝶子文丸書簡 寅すり本・御すり物(?)を送った 春興帖に多数出詠してくれたことに対する謝意(右大尽・猿人大人へもよろしく) 五側月次狂歌会休会について 雅言集覧大平の序文斡旋してくれたことに対する謝意 お礼のこと

撮影:四国大学 / 分類:手鑑1-28-1

新年嘉儀千里同風申納候先以
御全家様御揃御社中諸君御一同
御壮健ニ被成御超歳候御事無此上
珎重之至奉存候爰元六樹園ぬし
家内初社中皆々小子とも迄無異儀
加年仕候乍憚御安慮可被成候
 但旧臘より引つゝき春来も
 やハり怱怱ニくらし居り候まゝ
 別段年頭状もさし上不申甚以
 失敬之段御海容可被成候此段
 諸君へも宜く御伝声相願申候
当地は余寒殊之外厳敷候
御地いかゝ御動止?も承知仕?
奉存候
扨旧臘/並ニ寅スリ本
    早ニ御すり物/さし出し申候
段々ニ着仕り候事と奉存候其砌
駟馬園祝?之災の折から
草々ニ申上候ひき
先々奉謝候春興誠ニ存外之
大人数ニ御集被下誠ニ誠ニ御骨折
被下候段御厚志之ほと文丸身ニ余り
辱仕合難尽謝具五側之外聞とも
返す返す雀躍仕候乍憚皆々様へも
よろしく右大尽大人猿人大人なとへも
わきてわきて宜御伝声御礼奉願候

撮影:四国大学 / 分類:手鑑1-28-1

〇(五側)月次休之事 御社中の御たのしミもウスク
且諸国の聞へもいかゝ
多年仕馴し之事俄ニやめ候も五側之?ニ
相成候段右かたがた段々御心腹之
所被伝下ありかたく奉存候尾州など
よりも御同様之異見ニ候小子どもも
さ存し居り候へども
月次相立候てハ六樹園ぬし事外之
合評断られ不申所々のたのみニ候へハ
月々十会ニも及申へく?ほり候左候へハ
雅言集覧校合ノイトマ無之右一ツ
又文丸事乍不及月次の前後の事
取しらべ申候ニ半月ホドヅゝモ相かゝり候事
雅言校合浄書ノサマタゲト罷成候右二ツ
右二ケ条ニ而無是非月次相やめ申候
〇雅言集覧序文之儀御取なしを以て
大平ぬし御承引被下置候上木の浄書
?置?ニ被認御さし下し被下候様ニ
?山辱仕合五翁も殊之外ニ打
喜ひ仕申候
 右謝儀にも及不申ただ書面にて
 挨拶仕候様被仰下是又御深切ニ
 被仰下ありかたく奉存候
右五翁より先ハ御かへりことに相添
謝状ともさし出し候由五翁被申候文丸へは
大平ぬしゟ御ことつてとの儀辱事
身ニあまり申候ぬしへ一簡参らせ
可申候筈に候へとも今日はせはしく候
ゆるゆる文通仕度候御?之刻
よろしく御申伝へ被下候様
奉願候
序文??ハ鈴の屋翁の鳴り給ひし
余音存せぬ事なから面白く承り申候
(この続き不明*見当たらず)

語注

*文丸 狂蝶子文麿 春足宛て雅望の書簡に度々その名が見られ、盛砂の世話で雅望の傍らにあって筆耕・浄書等を引き受けていた人物とみられる

気づき

○この書簡、末尾の差出人・日附・宛先の記述が失われている。しかし内容から狂蝶子文丸から六々園にあてた書簡と分かる。①寅すり本・御すり物(これが何をさすか不明)、送った。②春興帖に多数出詠してくれたことにたいする謝意(右大尽・猿人大人へもよろしく) ③五側月次狂歌会休会について (春足側から休止しないよう要請があったか)雅望の負担軽減、雅言集覧編集の妨げになっていることの二点をあげ、休止はやむを得ないと述べている。 ④雅言集覧・大平の序文を斡旋してくれたことに対する謝意。大平へ謝礼をしたいがそれには及ばずという春足の助言があったか。礼状だけにとどめたこと。これについては当ホームページ「六々漫談」中の「雅言集覧と春足」参照。

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