郡内 多庫糸女
十五ゝ
うら富士の
着たる霞は
さなからに
郡内しまの
かすり
にそ
ひく
阿波/六々園
十五ゝ
源氏なる
若菜つむ頃
鞠よりも
風にくるへる
から猫柳
十五ゝ
春の野に
若菜を
つめハ
雪消にて
わか衣手も
おひたしに
しつ
会津 水茎園
*うら富士の/着たる霞は/さなからに/郡内しまの/かすり/にそ/ひく
郡内しま ぐんない‐じま【郡内縞】郡内織の縞物。多く、山梨県郡内地方特産の絹織物の縞海気(しまかいき)をさしていう。夜具地、羽織の裏地として用いられる。(精選版 日本国語大辞典)このよみ人は甲斐の国の人と見える。
○源氏なる/若菜つむ頃/鞠よりも/風にくるへる/から猫柳
『源氏物語』三十四帖目「若菜」の巻では蹴鞠の鞠にじゃれついたから猫が重要な役目を果たしている。「から猫」から「猫柳」を掛ける。優雅で面白い狂歌。
*春の野に/若菜を/つめハ/雪消にて/わか衣手も/おひたしに/しつ
君がため 春の野に出でて 若菜摘む 我が衣手に 雪は降りつつ 光孝天皇(15番)(『古今集』春・21)
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