新春御慶目出度申納候先以愈
御安福可被成御重齢奉寿候拙宅
無異加年致候乍慮外御安念可被下候
然は先達而御遣しの品染筆物
一岡の月 一ちく
一懐紙 夜霰 一枚
一短冊 郭公 一枚
一契沖東丸 短冊 一ちく
右之内真跡と見定め申候岡の月と
郭公の短冊へ此度そへうた詠懸
御遣しの奉書へかき認上申候余ハ見定
めかたく候故そのまゝ返上申候右不残
慥ニ御落手可被下候御きのとくなから
うたかはしき品をよろしくとも申
かたく候又契沖師東丸翁の短冊
右ハあまたも見受不申品故真偽
不存申候しかれとも大かたよろしき
品ニてあるへく存候鈴屋翁の筆跡
物近年来偽物多御座候とて諸方
より見定め又そへうた等乞来り候
処多く毎々こまり申候大ていは断
申遣し候義ニ御座候多用中かゝる事
迄たのまれ候事甚こまり入申候事也
先は右御見せの染筆物類不残
返上候条申述度如此御座候猶期
後信候恐惶謹言
同 左衛士
清島
本居三四右衛門
大平
正月十五日
遠藤宇治右衛門様
気づき
〇春足さんから本居大平に四品(一岡の月一ちく 一懐紙 夜霰一枚 一短冊 郭公一枚 一契沖東丸 短冊 一ちく)を送り、その鑑定を依頼した手紙に対する返事である。岡の月(今も遠藤家にあり)と郭公は真物と認めるので添え書きをするが残りは真偽不詳なのでそのまま返却するという内容。なお、近年このような鑑定が多数持ち込まれ多用中大変迷惑しているとも述べている。
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