摺りもの

『うさぎたぬきのものがたりをよめる』と題した長歌

撮影:四国大学 / 分類:手鑑1-18-1
撮影:四国大学 / 分類:手鑑1-18-1

  うさきたぬきのものかたりをよめる
  哥?にみしかうた   水技(枝?)
むかしへにかりすることをなりとしてたけき
翁のありきとふそれのを(お)きなかある時に
たぬきいけとり縄つけていへにもてかへり
うつはりにたかく引かけいつくにかいてゝ
行けるおうなハもよく(こ)すをたてゝ
麦つくと庭にいつれハうつはりのたぬき
つくらく此なハを翁てたはらハいたつきを
吾たすけはや何事も君かまにまにつか
へんとわふるをきゝてひたすらにあはれと
もひて其なはをときはなてれはたちよりて
ともにつきつゝあかきミかつきちらせるハ
ことことにわれしひろはんわかかたにつき
ちらせるハみなからにきミしとらせといひ
けるにそのことのことまへによりとらんと
すればたゝむきをつよくとらへてうす
ぬちにひこつらひいれこくこくとつかえつかえ

撮影:四国大学 / 分類:手鑑1-18-1

からにたちまちにいのちしにけりうつそミはハ
はかなきものとたなすゑを打てゑミつゝ
其肉にあつものつくり刀自となりもや
にそゐたるさてをちはたそかれちかく
かへりきてかなとにいれははつねのことまち
よろこひてたぬきをばほふりてにしと
あしなへのまゝにもちいてかの肉を盤にもり
つゝいたせるをうまかるものと取あけてくひて
終れハあやしかも刀自にありしか年経たる
けのあらものともとのことむさねあらハし
汝つまのおうなくらひし翁かもおうな
くらひしをちかもとたかくかたひてとの
かたにかけてそいてしかきてゝきかミ
たけひてあしすりしおひしきゆきて
また更に取ふきたらんよしなきをなけかひ
をれハしろうさきかとにとひきて何ゆゑに
さハなけかすとねもころにとひしさ
くるにありしことうちかたらへはをゝし

撮影:四国大学 / 分類:手鑑1-18-1

かるこゝろふりおこし其かたきいとり
来らんほとあらしまたせ吾勢とやま
ふかく尋入つゝましはかりそれのましは
の技ことに油をそゝきかつらもてゆひて
とり技たにそこのしもとの中に家つくり
なまりてをれるたぬきらかもとにいたりて
のしはをおひてたはらはまひせんといふを
うへなひおひもちてさかしき路をこのね
とりうそふきのほるしりにたちしのひしのひに
火きりきねはやくとりいてゝきりいたす
ほのほうつりてもえあかるしはにやかえて
すへてすへてころもはかえて岩かねを
まきてこやしぬよろしくもことなりぬとて
まつらへにちかくゐよりていかさまにかゝり
けめかもうむき?きたかひ媛のみくすりを
こゝにそもたるこのくすりぬらハいえんと
烟ひて草をこしたく取あつめねりたる
ものをはたなるそひらにぬれハいよいよに

撮影:四国大学 / 分類:手鑑1-19-1

たへかたしとてきしとふかゝる兎か
ほかりことさハにありしを絵にうつし
うなゐこともにしめさんといまもひさける
いち叙さかえし
かへしうた
あるはまた木舟つちふねあらそひ
しをさけたぬきの物語せん
             ?成書

気づき

〇カチカチ山の話を長歌にし、その反歌を添えた物。鈴木馨氏年譜によると天保一年1830「さるかに物語刊行」とあり、やはり昔話を素材に翻案したり長歌を詠んでいる。その類いか、なお調査する必要がある。

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