出雲名物/神代伝法 御甘酒
周礼に醴斉の名あり甘酒の文字ハ漢書の
註に見へたりとひとつ長屋の論語よみがは(ち?)ん
ぶんかんハしバらくおく私元来出雲のうまれ野見の
宿ねが末葉にて出雲のお国が血脈なれども
角力とるに力がなく俳優せうにハ男がわるく
せんかた七日がその間大社へのはだしまゐり
満ずる暁やミなんなんのおしだしにて汝しらずや此国
に神代伝法のあま酒ありむかしむかしハ百万の神々
神つくりに作り給ひ神啜にすゝり給ひあなうま
しとの給ひしより此国第一の名産となるのむ者
ハ本草綱目にもいはねハいふにいやまさる神変きどくの
くすり酒これをひさきて渡世とせよ猶々行末守るべしと神ハ
あがらせ玉花火みから(るま?)にきへてうせ給ひぬそこで真鍮
の釜をもとめ朱ぬりのへつつひ此外にさしたる
元出も入らさればおし出したるみせひらき八重垣
つくる八雲庵がたねとなしたる麹まち爰までござ
れあま酒く(?)せ御ひいきねがひ奉り候 以上
八雲庵 麹町九丁目さはや五左衛門
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