軸物

村田春海書写 『方丈記』第三段 画・中村芳中

撮影:遠藤雅義 / 分類:20231009-K12

南にかけひあり岩をたゝみて水をためたりはやし軒ちかけれは
つま木をひろふにともしからす名を外山といふまさきのかつらあと
をうつめり谷しけゝれと西は晴たり観念のたより無にしもあらす春
は藤なみを見る紫雲のことくしてにしの方に匂ふ夏は郭公をきくかた
らふことにしての山路をちきる秋ハ日くらしのこゑみゝにミてり空
蝉の世をかなしむときこゆ冬は雪をあハれむつもりきゆるさま罪障に
たとへつへしもし念仏ものうく読経まめならさる時はみつからやすミ
みつからおこたるにさまたくる人もなく又はつへき友もなしことさ
らに無言をせされともひとりをれハ口業ををさめつへしかならす禁
戒を守るとしもなけれと境界なけれはなにゝつけてかやふらむ
  享和のふたとせといふ年のきさらき    
                   平春海書    芳中写し

語注・気付き

*享和のふたとせといふ年のきさらき 享和二年1802二月
*本文は鴨長明「方丈記」第三段からの引用。
*平春海 村田 春海(むらた はるみ、延享3年1746~ 文化8年1811は、江戸時代中期から後期にかけての国学者・歌人。本姓は平氏。通称は平四郎。字は士観(さちまろ)。号は織錦斎(にしごりのや)・琴後翁(ことじりのおきな)。賀茂真淵門下で県居学派(県門)四天王のひとり。(wiki)
*芳中 中村芳中 ?~1819 江戸中期から後期の絵師。琳派に分類される絵師であるが一般に華麗、装飾的と呼ばれる琳派にあって、素人風ながらユーモアある表現で大坂画壇に独特な存在感をもつ絵師である。(wiki)

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