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岳亭のあるし弥生ころ
四国のかたへ旅立申さるゝを
見はやして
狂歌堂
海の幸の富貴も夏の/天にありと
雲ゐに/ミゆるかつをつりふね
鉄廼屋
釣のほり絵もはつ鰹/はつか草
ミなはつ物とさそやめつらむ
○ 芍薬亭
名の價高くなりたるうりものに
かさりてのほれ大江戸の花
楽聖庵
釣鰹生たる筆のいさほひに
坂東こゑを立てとよめり
○ 浅草庵
海山を心にうつす春の旅
ふ(?)んての花も今さかりにて
浅山堂
こきませし柳桜のミやこ路へ
にしきかさりてのほる友人
浅錦堂
とりかなくあつまに匂ふ名とり草
出こし花の王城の地へ
○ 星の屋北居
千金の春過ぬれは初かつを
價いとはてかふ富貴草
正の屋貞行
君行てまた廿日草たらぬ間に
かへりをまつの魚(?)とも出なん
青莪園真砂子
めてたさよ都へのほる旅立に
めすゑほし魚はた富貴草
春秋庵永女
春夏を花を両かけほたんかけ
都をかけし門出いはゝむ
おのれことしハ大江戸にきたりぬ
岳亭うしハわかふるさとミやこの方へ
旅立し給ふかたミに又あはんことをちかひて
在江戸 まぬけ庵蝶々子
車ゐのつかへのことくわかるとも
くミかはしたるこゝろわすれし
○ 倭和多丸
旅衣はつかはかりにかへれよと
をしむも友の色ふかミ艸
祭星亭七雄
おもひ越す心や袖を敷しまの
ミちミちめつるいろふかミくさ
和深亭末広
大紋の花のミやこへ旅立に
物くるゑほしの魚の一折
和調亭末永
ミやこ路へのほる日かすもはつか草
花の富貴の君か旅立
○ 祭永亭持丸
春と夏両かけの荷も目に付て
富貴花やく君か旅立
石原亭濤雄
初鰹筆の心のふかミ筆
すゝりの海の土佐も及はし
○ 塵外楼
いそきつゝかへりきませよはつか草
いつかいつかと指をこそをれ
荒樹軒史喬
ミやこ路へけふ行ひらのまつの魚
まつとしきかはとくかへりこよ
錦鳳堂永雄
大江戸の名とり筆とてミやこにも
鰹かつをといさむたひたち
花王園徳成
はつかつをはらの三筋の雲井まて
のほれる絵師も江戸の親玉
司馬園盛砂
大江戸にたゝ一本のはつかつを
よそへやるのはこれもをしめり
岳亭春信ぬしとほき国に
まかるをおくりすとて
六樹園
わかれてはあひ見むことハ?(三音)その
うたは古今のはるのふにあり
やよひのすゑミやこのかたに
旅立なんとするとき
友人よりめてたき
御哥ともさはに
たまハりたりけれは
定岡
おのか身の/光りとなりて/うれしきは
もろきんたちの/玉のことのは
岳亭のあるしこたミ
都の酒の味しらんとて
催馬楽うたふ旅よそほひに
馬のはなむけすとて
文々舎
つとによけん/花の富貴の/大江戸に
きこえしかつを/あはひ定岡
語注・気付き
*岳亭定岡 手鑑2-37-1の雅望書簡に春足宅にも訪問する予定である旨の記載あり。手鑑2-40-3の雅望書簡には「岳亭子へよく御伝へ可被下候」とあるので、岳亭定岡が春足宅に滞在しているときに送ってきたものと思われる。
わかれてはあひ見むことハ?(三音)そのうたは古今のはるのふにあり 六樹園
*「はるのふ」に「春の部」と「春信」とを掛ける。
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