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阿州六々連
亥歳暮
四国猿人
亥のとしのかへれるころに深山から
さとをりをする/市の門まつ
奈摩須生盛
光陰の矢におハれてやうしろへハ
ふり向きもせて/かへる亥のとし
麁男楼衣丈
ゐのとしのかへれるくれのせハしさハ
横に向へき/ひまたにもなし
?白齋児丸
節分ハともあれこよひ懸乞の
鬼打払ふかねも/まめいた
和琢舎綾丸
出す時閻魔顔にハ掛乞の
鬼も平伏する/大三十日
半分法師
亥のとしのきは(?)てうちんて一さんに
かけまハりたる/くれの市人
時雨庵濡丸
ゐのとしの大晦日とて折々ハ
いかにけミする/かけ乞の㒵
祢太楼起兼
人ハ目に門をたてたる取引も
かとハたてさる/除夜の家々
針業右大甚
店に出す塩鮭よりもせハしさに
おのかはらまて/ほす年のくれ
四国猿人
大津絵をうる店まてもかねと帳
持て出はひる/かけこひの鬼
子春興
和琢舎綾丸
風流なやつと思へハとらへても
そくといはれぬ梅の/ぬす人
五山堂矢丸
春くれハ羽子や手まりの外に又
袖についたる/うめかかすかす
鳩杖九十九
臍程にやれし障子のあなたより
麝香の薫る/軒の梅かゝ
諸園回丸
歌をよむ鳥のとまれハ真ふたつに
ほつくとをれし/梅のかれ枝
針業右大甚
品玉の春なれはとて目にミへて
袖やたもとに/かよふ梅かゝ
詩庵季兼
引わたす霞の網のほくれてや
岸にミたるゝ/青柳のいと
四国猿人
一枝ををれハ師匠の見とかめて
寺子もとめる/庭の梅かゝ
針業右大甚
泡雪の帽子きなから日蓮の
ほふにひろめに/いつる鶯
時雨庵濡丸
けに是ハ達磨凧とて子とも等か
霞の棚へ/あけてこそミれ
和琢舎綾丸
孔明か図にしゝ凧をあけんとて
いのるもやはり/東南の風
雲多楼
深山にハまた雪あれと春くれは
霞にきゆる沖のつりふね
語注・気付き
*画の箱に描かれた図柄に注意。雲多楼の「雲」「五側マーク」があしらわれている。
品玉の春なれはとて目にミへて袖やたもとに/かよふ梅かゝ 針業右大甚
*品玉(しなだま) いくつもの玉や小刀などを空中に投げ上げては巧みに受け止める曲芸。たまとり。手品。(goo辞書)
一枝ををれハ師匠の見とかめて寺子もとめる/庭の梅かゝ 四国猿人
*「一枝を切らば一指を切るべし」(歌舞伎「熊谷陣屋」に出る制札の内容。「師匠」、「寺子」は「菅原伝授手習鑑」に登場する。あえて混同したか。
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