書き物

春足 本居大平に入門する経緯を綴った長歌と反歌

撮影:四国大学 / 分類:20230909-J52

天地のそきへのきはみ八百国と国はおほけと八十道とミ
ちはしけゝと 神祖の高ミなしませる日本のこれの
やまとそ八百国の国のおや国 神祖のはしめ給へる
安国のうらあの国八十道の道のもとミち此道に似るミち
はなしこの道をれ?れそ?ミちになまとひそとこと
たてゝ?へ給へる神風の伊勢の国常磐木の松坂のさと
折鈴のすずの屋の大人をたふときや学ひのおやとい
そしみてつかへまつらふ人はしも沢にあれとも大平の
翁の君は同し国同しさとにしあれまして同し学ひに
ぬば玉のよるひるとなく群行の?そ?らし剣太刀身を
もつくしてかしの実のひとり出て其うしの其氏
をしも名のりその名のり給ひて鈴の屋の鈴のねをい
や高に鳴し給へは神直日の神もうつろひ其大人の御霊
ちハひて其道はいよゝますます四方八面に広まりいたり
国もせに栄へわたりぬそれをしも木の国しらす賢き
や居の?のたふとくもうれしミましてねもころにおふせ
給ひはろはろによはせ給へハ殿のめしのまにまに今ハしも
もとつ国へを朝鳥の立まして木の国にうつり給ふ
と風の音の遠音に聞ぬ木の国と粟の国とは海つ路
のへたてはあれと磯にちてふりさけミれは其くに
の山さへ見えて朝よひに船もかよひぬかくのミ船はかよへと蜑人は
めかり塩焼いとまなミ得しもかよハすかくのミ得もかよハねと
今よりは言の葉のミは其船のたよりにつけてしきなミ
のいやしくしくにかよへ?君のをしへのうけまくほしも
       反歌
海つ路のへたてはあれと今よりは
心へたてすをしへ給ひね       阿波人
                    春足

語注・気付き

*大平に送った長歌と反歌。大平については誰かから詳しく聞いていたのであろう。春足が本居大平に入門したのは鈴木馨氏によれば文化九年1812ということであるが、『六々園漫録』によれば文化五年ということである。大平が紀州徳川家に出仕したのはそれより前か後か、調査の要あり。

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