短冊

高尚・真顔・春足・京傳 狂歌短冊(四葉)

撮影:四国大学 / 分類:右から手鑑4-5-1、4-5-2、4-5-3、4-5-4

 猿のぬさもちて
 たちまふかたに
かくそとやおののまなひも人ハ見ん
ひとまねするは猿はかりかは  高尚

 若き女とも
 春の野に出て
 遊ふところ
腰帯の紫野ゆき標野ゆき
しめてもこゝろゆるむ春の野  真顔

から人に見せなはさそやおとろかむ
よしのの山の花のちもとを   春足

 月
なか秋の月にめてゝは今川の
をしへもそむく酒宴遊興    京傳

語注・気付き

4-5-2 腰帯の紫野ゆき標野ゆき/しめてもこゝろゆるむ春の野
*あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る 額王女 万葉集巻1-20

4-5-3 から人に見せなはさそやおとろかむ/よしのの山の花のちもとを
*ちもとを 「千本(ちもと)を」の意。

4-5-4 なか秋の月にめてゝは今川の/をしへもそむく酒宴遊興
*なか秋の月 中秋の名月
*今川のをしえ(教え) 桶狭間の戦で今川義元は大勢の軍を率い優勢を誇りながら油断して酒宴を開き、信長軍に負けてしまったという俗説によるか。

徳田武氏ご教示分

 若き女ども
 春の野に出て
 遊ぶ所
腰帯の紫野ゆき標野(しめの)ゆき
しめてもこころゆるむ春の日
               真顔

◯『萬葉集』巻1の第20番、額田王(ぬかだのおおきみ)が、大海人皇子に向けて詠んだ歌
あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る
のパロディです。わざと猥褻に、若い女が乱れた裾から白い脚を見せている所をからかった物です。
鹿都部真顔(しかつべのまがお)

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