霧
ふかしともおもはてわけし朝きりに
やかても袖のぬれにけるかな 雅嘉
柳
見わたせは柳はかりにこきませぬ
堤そ春の色ははやかる 馬琴
ゆうやみは道たとたとしやよや雁
月まちて帰れ花は捨ても 古渡
語注・気付き
3-21-4 ふかしともおもはてわけし朝きりに/やかても袖のぬれにけるかな 雅嘉
*こんなにも深いとは知らずに朝霧の中出かけてみたら我が袖はびっしょりと濡れてしまったことだ。
3-21-5 見わたせは柳はかりにこきませぬ/堤そ春の色ははやかる 馬琴
*見渡せば柳桜をこきまぜて都ぞ春の錦(にしき)なりける(古今・春上・五六・素性法師。)
3-21-6 ゆうやみは道たとたとしやよや雁/月まちて帰れ花は捨ても 古渡
*おい、鴈よ。夕闇の中は道がたどたどしいからせめて月の出を待って帰ったらどうだい。たとえ花を捨てて帰るのが君のならわしとしても・・。
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