(二段組のため上下に分割)
詞書入・絵入 狂歌続万載集
六樹園飯盛判
兼題 四季・恋・雑・何にても
但 結題 狂題 あるひは/雑題/折句 廻文の類にても/はしかき無之常の題にても/思召次第
此狂歌続万載集となつけたるはこたミ
人々の玉詠をあつめ我うしのえらミにて
一部の書にしたて申へき心かけにてよのつね
摺本集冊のたくひにあらすされハ是迄の
企いつれも詞書ともに上本せし例は
なかりしを此度のは木にゑる所の
費をいとハす詞書の多きもすくなきも
うしの雌黄をくはふるのミにて其侭にて
出板いたし且難題狂題等をも本哥題の
末に部わけをなしてつふさに題を
しるして彫刻せしむ
○すへて初出見合せのため蔵書になり候やう
いたし候間其思召にて御出詠可被下候
○此企は小子か大業にて此集世に残し
申度存念故遠近の雅君不洩様に相務
御出詠所希候
但 八点以上 出板 十三点上 画入
表帋附袋入集冊 披講の当日呈上仕候
入料 二首一組 三百孔
御かへ歌 一首四十八孔
後万載集才蔵集なと中興の撰なりしも
すてに昔となりて其書今も猶世に行はる
此集もそれにつぎて六樹園一家の
精撰にいたし申へき本懐故会をハりて
書林にて売出し申候
八月朔日 集
同 廿日 開 延引なし
補助(5組) 仝 ナニハ・タカサキ・アヒヅ・オハリ・八王子・阿州 雲多楼花垂・上毛・カヌマ・下総・水海道・村山・扇丁ヤ・川越・ギフ(以上 それぞれ個人名有り)/仝 (十五名の狂名)・執事 玉光舎占正/会主 塵外楼清澄
集所 同開とも(四谷・神田 二カ所の名)
詞書彫刻の費用多分ニ候まゝ入料
御そへなき御哥加入不仕候
語注
* 雌黄(シオウ)
1 「石黄せきおう」に同じ。2 タイ・ベトナムなどに産するフクギ科植物からとった黄色の樹脂。黄色絵の具として日本画などで用いられる。草雌黄。藤黄とうおう。ガンボージ。3 (昔中国で、文字の抹消に1を用いたところから)詩文を改竄かいざんしたり、添削したりすること。(小学館デジタル大辞泉)
気づき
○この摺り物によって狂歌集がどのように編纂されたかの手順がほぼつかめる。
①企画②広告③募集「集所」でとりまとめ④判者による採点(点掛)・入集歌の選択⑤筆耕⑥印刷(彫刻・摺り・製本)⑦披講(会を催しそこで披露・頒布される)
○この「狂歌続万載集」、「小子(会主の清澄をさす)の大業」「六樹園一家の精選」などという意気込みにもかかわらず、出版された形跡がない。清澄の不調か?
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