書簡

六々園宛て五老書簡 年始御祝儀金百疋受納 新居壁上狂歌師画像の事 一曲亭江戸下向雅望宅訪問 賀茂季鷹来訪狂歌応答 雅言集覧当年中一篇出したい

撮影:四国大学 / 分類:手鑑2-32-1

すりもの少々入御覧候
〇雅雄事此節私方食客ニて
日毎ニ御噂のミ申出候

正月十五日之貴翰今朝着
拝読仕候御安康奉賀候
為年始御祝義金百匹
御授被下御厚意之?奉
謝候
〇新居壁上画像之事此節
京師より下り居候土佐派
絵師千春と申者ニかゝせ
て候出来いたし候所壁上よりは
屏風ニ致候方よろしかるへくと
申者も有之相考候事にて候
〇一曲亭様御下向にて此間
御来臨御物語仕り候
〇末鷹本年中出府少々
評判あしく有之候小子方へ
も来り候而二階ニ有之笠を

撮影:四国大学 / 分類:手鑑2-32-1

ほしきよし申候故遣し候?
 日あたりにあたらぬやうに
 めし給へ半夏過ての
 たけのこのかさ
末鷹返し
 やとりてハ一樹のかけも
 わすれぬをまして六樹の
 たけのこの笠
この外は雑読のミニ有之候
吉原へもなしミ通ひ候よし也
雅言集覧当年一篇出しハ(?)度
存居候
くれくれ御年?之御礼あつく
申上候猶後便万々申?候 以上
二月廿日      五老拝
六々園大人

尚々諸君へよくよく御伝達
可被下候

気づき

○①年始御祝儀金百疋受納(粕谷宏紀著『石川雅望研究』によると門弟の山田早苗が毎年正月に「狂歌よみそめ代」として一分贈っているのでほぼそれに匹敵する) ②新居壁上狂歌師画像の事、いっそ屏風にしてはどうかという意見も出たので考慮中。この狂歌師の中に春足も含まれていたかも知れない。③一曲亭江戸下向雅望宅訪問 ④(賀茂)季鷹出府評判あまりよろしくない(吉原通いのためか)来訪狂歌応答 ⑤雅言集覧当年中一篇出したい。
○季鷹との狂歌応答 解釈
(雅望の贈歌) 日射病にならないようにかぶりたまえ。半夏生過ぎての竹の子で作ったこの笠を
(季鷹の答歌)一樹の蔭を借りた(一宿一飯の)恩義は忘れようはずがない。ましてや六樹の蔭(六樹園をかける)を被り、たけのこの笠までもらったのだから・・・・(季鷹は狂歌は秀逸)

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