書簡

六々園宛て五老書簡 忠臣蔵御出題 注文のすり物二月初旬届けた 花四評おもしろい 東夷庵は信義をわきまえない悪徒 盛砂は大正直者 五色素麺の礼等

撮影:四国大学 / 分類:手鑑2-11-1

尚々篇額別ニ二枚したゝめ候いつれニても
御えらみの上御用仕候??御つたへ可申候

二月十四日之貴書此節到着捧読
いたし候御強健愛度奉存候忠臣蔵
御出題をかしくおほへ候正月中被仰越
御すり物すく申付候而二月初旬御店
へさし出し候いまた着不仕候や承り度候
花四評おもしろく奉存候但右判者の
事ニ付よく御内ニ御物語有之候右之
うち東夷庵と申者実に無礼放蕩
之男ニて一向信義をわきまへさる悪徒
に有之小子も是迄一軒の主人ニもいたし
遣し度セ話いたし遣し候へ共甲斐無之
所々金銭なと不義理いたし候故私方へ
此節つらを出しかね候事ニ候そのうへ占正事
さまさまのちらしを出し板行すり本不出候故
何方ゟも占正企候分ハ出詠無之本年中
小子方月並等も盛砂文丸ニまかセ置候(*)


*粕谷p28「司馬園盛砂」

撮影:四国大学 / 分類:手鑑2-11-1

処六百番なと格別より哥おほく候を占正
大ニねたみ盛砂とも絶交いたし?右盛砂ハ
大正直者にて侠気ある男ニて占正をも是迄
種々せわいたし候者ニて候をなかなかニ恨み候て此節ハ
当社中をも自分とはなれ候やうニいたし候
此占正不審不義の奴ニ有之候右ニ付先達而
花の御企貴兄と小子と両判ニ被成候やう
文丸盛砂より申上候事ニ有之候右之趣ニ
御承知被下候一寸法師も此節御?人と申
連ニ加はり候へハこれも御すて置被下候やうニ奉存候
御礼前後ニ相成候五色素麺一筥御恵
奉謝候猿人君右大尽君よりも一筥御授
被成下御厚意よくよく御礼申上候文丸へ
被遣候一筥?????(慥相届候?)
額面相認候窈窕淑女琴瑟友之の????
てゝ思召ニかなはす候ハゝ又々したゝめあくへく候此
御主人ゟ為魚価南陵一片御授被下いたみ入奉
存候よくよく御伝達可申候

撮影:四国大学 / 分類:手鑑2-12-1

前段四評ヲ二評に被成事如何ニ思召候はゝ又々
御申こし可被下候外ニ両人の者ニ判いたさせ可申候同
くハ二評きりニてよろしくと奉存候
万々大いそき??申上候謹言
              五老
三月廿日
    六々園長兄

語注

*東夷庵(古渡)(1774-1823)江戸後期狂歌師。山の手東西南北四判者の一人。石川雅望と交流があった。
*窈窕淑女 窈窕たる淑女は 君子の好逑(詩経国風)
*琴瑟 琴瑟相和す(詩経 小雅)

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