月前虫
八
こは月の邪魔なれハとや
松か枝(?)に
斧ふりあけてみゆる蟷螂
月前鴈
八
これもまたしるしの杵と
ミ?かさき月の雪見を
わたるかりかね ??
長場
八
瓶にさし酒にも入て
そのはなの
きくハたかへぬ
長場の二日ゆめ(?)
菊
八
たんさくのかすかす
ついて見ゆるのは
これや名におふ
?ふくろ菊
谷菊
八
さく菊に
手をいれんとや
谷あひの
蟹もはさミを
出して見えけり
庭菊
八
細見のしるしのほかに
これも又ほしとみせ
たる吉原のきく
社頭紅葉
八
清盛のむかしはしらす宮しまに
入日をかへす紅葉はの色
九月尽
六
右を見ても左をミても
さひしきはけふはかり
なる秋の山てら
(左上)経キヤウ
右を見ても左をミてもさひしきはけふはかりなる秋の山てら
(左上)経キヤウ
*左上の書き込みは 「けふ」を「経」と書き「キヤウ」と読め、のアドバイスと思われる。そうすれば「九月尽」の「今日ばかりなる」と「経ばかりなる」が掛詞として生きてくる。
堀川百首冬の題をよミける/中に
八
小春とふころにもなれは
花の名のさくら
炭をもいけて置(?)しつ(?)
時雨
八
さミせんの棹の河辺も
冬くれハしくれの
いとをかけてミえけり
小春とふころにもなれは花の名のさくら炭をもいけて置(?)しつ(?)
*堀河百首 平安後期の歌集。長治2年(1105)ごろ成立か。堀河天皇の時、藤原公実きんざね・源俊頼・源国信らを中心に、当時の代表的歌人の大江匡房まさふさ・藤原基俊ら16人が詠んだ百題による百首歌の集成。後代の組題百首の規範とされ、重んじられた。堀河院御時おんとき百首和歌。(コトバンク)
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