書冊(版本・狂歌集・自筆稿本等)

六樹園撰 春足狂歌百首(題簽なし 仮題)

撮影:徳島県立文書館 / 画像:P2020346

 勢見へ花見に
 まかりて焼餅やへ
 立より侍りて

みなひとかさくらはかりを
ほむるゆ
外の木く科の
やき餅も見ゆ

 卯花

卯の花の月の兎か
たま河に杵ふり
あけて布さらすひと

みなひとかさくらはかりをほむるゆゑか外の木く科のやき餅も見ゆ
*勢見(せいみ) 徳島市の中央に位置する眉山東南麓にある地名。勢見町。

卯の花の月の兎かたま河に杵ふりあけて布さらすひと 
*たま河 「多摩川にさらす手作りさらさらになにそこの児のここだかなしき」(万葉集巻十四よみ人しらず

撮影:徳島県立文書館 / 画像:P2020347

 その二

過しはるさくらにかいた
うたの恥をいて卯のはなの
雪にすゝかむ

 蚊遣火

くゆらせる烟に
涙こほしけり
今はかなしと
夕くれの宿

撮影:徳島県立文書館 / 画像:P2020348

 水鶏

孟掌君と
あちらこちらに
人真似て関守
たます水の鶏

 五月雨

月も日もさらに見えねときものには
ほしの出たるさミたれのころ(うち?)

孟掌君とあちらこちらに人真似て関守たます水の鶏
*孟嘗君(もうしょうくん、? – 紀元前279年)は、中国戦国時代の公族・政治家。姓は嬀、氏は田、諱は文。斉の威王の孫にあたる。戦国四君の一人。(wiki)「鶏鳴狗盗」の故事で有名。

撮影:徳島県立文書館 / 画像:P2020349

 雷

町々の拍子木のみか雷の
太鼓も暑さのときはたかへす

 風鈴

裸にてすゝめるう(?)たををかしとや
舌出して居る軒の風鈴

撮影:徳島県立文書館 / 画像:P2020350

 夏旅 二方荒神といふものなり

夏の日も不尽のゆきミて馬上には
やはり巨燵へはる旅人

 七夕虫

棚機に何をねかひの
ありとてやいとをひく
?針を出す蜂

夏の日も不尽のゆきミて馬上にはやはり巨燵へはい(ひ)る旅人
*二方荒神 馬の背の両側に枠をつけて、そこに一人ずつ乗ること。(goo辞書)

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