また地楽齋のもとへヘ
かくなんまうし遣し/ける
八
紫の綱付巻を
手にすゑて帰るもやはり
けふのてんたか
婚礼のありける人のもとへ
戯れによミて遣しける
八
妹とせの契りは千世か万代か
婿は松竹嫁は寅の尾
紫の綱付巻を手にすゑて帰るもやはりけふのてんたか
*針業右大尽 六々園社中の幹部級門弟。「六々園漫録」によると春足が住吉神社に狂歌額面奉納したのもこの人の発案である。ところがのちに何かの諍いがあって抜けた形跡あり。この二首はその原因になった出来事かも知れない。
また
八
幾千世も
かはらし尉と
姥たまの
その黒かミも
しろくなるまて
また三弦によせてよろこひの
こゝろを
八
妹と背はさミせん?んも
かハるまし其ねも
直にてんつると亀
幾千世もかはらし尉と姥たまのその黒かミもしろくなるまて
*尉と姥 謡曲の「高砂(たかさご)」に登場する老翁老嫗。能装束で熊手、箒を手にしたさまを姿絵や人形にして、婚礼、雛祭などの祝いに用いる。(コトバンク)
*「姥(うば)」はそのまま「うばたまの」となり「黒」に掛かる枕詞となっている。
浪華の画龍堂の母刀自の
六十一になりけるを寿きて
八
老もことし
もとの子ともに
はやかハりこれや六十
市川の所作
寄国祝
十
足長や手長しまには
あらねともこれも
にほんの国の長人
老もことしもとの子ともにはやかハりこれや六十市川の所作
*この歌、方々へ送っているようだ。
足長や手長しまにはあらねともこれもにほんの国の長人
*足長手長(あしながてなが)は、中国および日本に伝わる妖怪。1種のみの妖怪ではなく、足長人(あしながじん)と手長人(てながじん)の2種の総称である。(wiki)
(以下、撰者雅望の再録・評点・評語)
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