神無月中の五日のくれかたに庭に
散しくならのはの物ふみならして
きこえけれは女院世をいとふ所に
何者のとひ来るやらむあれ見よや
しのふへき者ならハいそきしのはむ
とて見せらるゝに小鹿のとをる
にてそ有ける女院扨ハかたかた(いかにいかに?)と
仰せけれハ大納言佐のつほね
なみたを押て
岩ねふみ誰かハとハむならの葉の
そよくハしかのわたるなりけり
甲辰秋たつ日
龍門中におゐて 月渓写并書
語注・気付き
*本文は『平家物語』大原入 からの引用。
*月渓 松村呉春1752~1811 江戸中期絵師。四条派の始祖。号は呉春のほか月渓。蕪村そっくりの筆跡。
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