あし引の山鳥の尾のしたり尾の長く久しくつたへたる詞の道の神と
しも世にあふくなるその柿の本のまことの御かたちは赤石の浦のあさきりに
千年あまりや百年の代々をへたてゝさたかにはしることかたきわさなるを後の世
なから今よりは七百年の昔人夢に見きてふ面影をうつしとゝめてつたへける
そのうつし絵を今は又これもさなから古のその御姿としのふれはたふとかり
けり住江の岸に向へる淡路嶋あはれむかしへ思ふには身を下なから雲ゐまてきこえ
る藤原のかしこき御代につかへつゝ春のあしたは桜ちる吉野の宮の言の葉に
君の御幸の色をそへ草の枕の旅にては秋の夕のことなれやわたりのやまの
もみち葉のちりのまかひに妹か袖見えぬ別をなけくとておちし涙の白玉も
世にたくひなき光にて高角山の松の風吹つたへたる言の葉のたかきしらへもちり
うせす石見の海のそこふかき心の奥は浜千鳥ふみおく跡にしられつゝますみの鏡
ますますにうつす御像もあふかれそする
代々をへて見れはたふとし代々を経てうつる御形をうつす御像も 平大平詠書
語注・気付き
*和歌の神様としてまつられた柿本人麻呂像に添えられた本居大平の長歌と反歌
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