新樹といふ事を
かた岡のこのむかつをに椎まかばと
いひしふる事を思ふにもけに夏は木陰こそ
さるかたにいとなつかしくて卯月きぬれハ青や
かにしけれるかまつめにつきてなまめかしう
見ゆかしまして村雨のなこりの夕露(?)にぬれたるハ
ひときはうつくしきに暮はてゝハをかしきほと
なるとうそのひかりに浅ミとりの若葉の色の
いとこく見ゆるも又
いはんかたなし
松齋藤井高尚
語注・気付き
*かた岡のこのむかつをに椎まかば 片岡(かたおか)の、この向(むか)つ峰(を)に、椎(しひ)蒔(ま)かば、今年の夏の、蔭(かげ)にならむか 万葉集 巻七 一〇七九(たのしい万葉集)
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