短冊

狂歌短冊 正明・放亭山人?・哥哭・春足・元有・與清・乎佐丸

撮影:四国大学 / 分類:右から順に20230909-J131、J132、J133、J134、J135、J136、J137、J138、J139、J140

霜深き庭のさくらの薄栬
あきのあはれはおもはさりしを  正明

 法??(華堂?)
釈迦むにののりの教へもしきしまの
はしにもよめる?鳥の声   放亭山人?

手折とも人なとかめそうはゝれし
こゝろを花に取もとす也     哥哭

 桜は我国にのミ
 ありてから国には/あらさるよし
 人々うちか/たらふをきゝて
海棠をさくらのやうにおもふめり
芥子坊主らのをさなこころに   春足

 桜
玄宗とかハりてわれハ咲花の
やうきひゆえに朝おきもしつ   春足

 山路時雨
笠としもいふ人はなし龍田山
ひとりこえゆく夜半の時雨に   春足

 名所のうめといふことを
江南にない?とハいとむかに(?)
いほりにひらく浪花津の梅    元有

 阿波のかうの殿の
 近衛次?に任し/たまへるをり歌
 よめとおほせ/こと有けれは
いまよりは万代かけて大宮の
近き衛りに君つかふへし     與清

住の江に生そふ松の枝ことに
ちとせの枝そこもれる(?)   ??

 大坂の月といふことを
淀屋はし照白かねの月ミれハ
なかぬこかねの鳥ハものかは   乎佐丸

語注・気付き

霜深き庭のさくらの薄栬/あきのあはれはおもはさりしを 正明
*栬 もみじ

手折とも人なとかめそうはゝれし/こゝろを花に取もとす也 哥哭
*おもしろい。

玄宗とかハりてわれハ咲花の/やうきひゆえに朝おきもしつ 春足
手鑑3-56-3参照
*「従是君王不早朝」(これよりくんのうそうちょうせず)(これ以来(玄宗)皇帝は朝のまつりごとをしなくなった)(白居易 長恨歌) あの玄宗とは代わって自分は楊貴妃桜故に朝起きをするようになった。 秀逸。

笠としもいふ人はなし龍田山/ひとりこえゆく夜半の時雨に 春足
*「傘を召しませ」と言う人は誰も居ない。紅葉に染まった龍田山を夜半、一人越えていく私に向かって」の意味。みさぶらひ御傘(みかさ)と申せ宮城野の木の下露は雨にまされり よみ人知らず 古今集巻二十、1091東歌」を踏まえるか。

阿波のかうの殿の/近衛次?に任し/たまへるをり歌/よめとおほせ/こと有けれは
いまよりは万代かけて大宮の/近き衛りに君つかふへし 與清
*かうの殿 守の殿 国守、左馬頭、右馬頭、衛門督、兵衛督などを敬っていう語。こうどの。こうの君。こうの主。 (コトバンク)
*阿波の守が近衛次?(近衛のすけか)に任ぜられた折、詠めと命じられたので詠んだ歌という前書きで「今より後は万代の後までも宮城の近い衛り(近衛)として天皇に仕えるべきである」という内容。

追加資料

J139を明るく画像処理しました。

分類:20230909-J139

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